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第5章:KitaQ All JAM 専用シミュレーション

1. 予算10万円で組む「最強の防衛ライン」

あなたが確保した予算「10万円」を、リスクの大きさ順に配分します。 結論から言うと、 「賠償」と「スタッフ」で予算は尽きますが、これで正解です。

優先度保険種目ターゲット見積目安解説
S (必須)イベント賠償責任保険観客5,000人の命約 70,000円花火・食中毒特約込み。ここを削ると死にます。
A (必須)ボランティア活動保険スタッフ100人の命約 35,000円1人350円×100名。安価だが手続き必須。
B (推奨)動産総合保険LEDビジョン等予算オーバーレンタル業者の補償(免責数万円)で耐える。
C (断念)興行中止保険イベント開催予算オーバー雨天決行・台風中止なら諦める。

合計:約 105,000円 (※5,000円のオーバーですが、Tシャツ代を1枚50円削ってでも捻出してください)


2. 最悪のケース(Doomsday)シミュレーション

なぜ、ここまで「賠償」にこだわるのか。 保険に入らなかった場合、あなたの人生がどうなるかシュミレーションします。

シナリオA:突風によるステージ・LED倒壊

  • 状況: 本番中、突風でトラスが倒れ、LEDビジョンが客席に落下。
  • 被害:
    • 観客2名が骨折(後遺障害あり): 賠償請求 5,000万円
    • LEDビジョン全損: 弁償請求 800万円
  • 保険なしの場合:
    • 主催団体の破産、代表理事の個人破産、刑事告訴(業務上過失致傷)。
    • 一生、賠償金を払い続ける生活になります。
  • 保険あり(第1章・第3章)の場合:
    • 対人賠償:保険から 全額支給
    • 機材弁償:受託者賠償に入っていればカバー。入っていなくても数百万の借金で済み(命は取られません)。

シナリオB:集団食中毒パニック

  • 状況: 高校生が出店した「冷やしきゅうり」で100名がO157に感染。
  • 被害:
    • 治療費・慰謝料(1人30万円×100名): 賠償請求 3,000万円
    • 信用失墜:来年以降の開催は不可能。
  • 過去の判例: 1996年の堺市学園祭事例(9000人超感染)では、原因究明と賠償に数年を要しました。
  • 対策: 「飲食物危険補償特約(数千円)」に入っていれば、金銭的補償はカバーされます。

シナリオC:「当日朝、台風直撃」

  • 状況: 暴風警報発令で中止決定。
  • 被害:
    • 設営費・弁当代など: 損失 300万円
  • 現実:
    • これは「借金」として残りますが、人が死ぬわけではありません。
    • 若いうちの300万の借金なら、働けば返せます。
    • だからこそ、今回は 「興行中止保険」を捨ててでも「賠償責任保険」に入った のです。

3. あなたが今週やるべきこと(To Do)

この「恐怖のシナリオ」を回避するために、今すぐ動いてください。

  1. 機材リストの作成: LED、発電機、ステージの時価総額を算出。
  2. スタッフ名簿の作成: 名前だけでいいので100人分集める。
  3. 代理店への電話:
    • 「5月5日、5000人規模、花火あり」
    • 「予算10万円以内で、対人・対物とスタッフ傷害を最優先したい」
    • こう伝えれば、プロが最適なプラン(借用不動産特約の調整など)を組んでくれます。

迷ったら「人の命」にお金をかけてください。 モノやカネは後でなんとかなりますが、命と信用は戻ってきません。

参考文献 (References)