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4. 開催を守る(興行中止保険)
雨で中止になったら、借金だけ残る?
「KitaQ All JAM」は屋外開催ですね。 心配なのは 「台風」 や 「記録的な豪雨」 です。
もし当日、台風直撃で中止を決断したとします。 それでも支払わなければならないお金があります。
- 設営費(前日設営なら完了している)
- 音響・照明機材レンタル料
- チラシ印刷代
- 警備員のキャンセル料
これらが合計で300万円かかっていたとして、開催できなければ収入(出店料や協賛金など)が入らず、 300万円の赤字 になります。 これを埋めてくれるのが 「興行中止保険」 です。
具体的にどの商品?
興行中止保険は、ネットで気軽に入れる商品はほぼありません。 第1章で紹介した大手損保の代理店で、イベント賠償と一緒に相談するのが基本です。
【推奨:東京海上日動・損保ジャパンなど】
- 商品名:興行中止保険
- 注意点:「台風」をカバーするには、オプション(拡張担保)が必要な場合があります。必ず「台風で中止になった場合も出ますか?」と確認してください。: 予算と相談。
「中止」=「借金」の方程式
イベントが台風で中止になっても、支払いは残ります。
- 会場費(キャンセル料100%)
- 設営スタッフの人件費(前日・当日の場合100%)
- ポスター・チラシ印刷費(既に使用済み)
- 看板・ステージ製作費
これら「戻ってこないお金(埋没費用)」を補償するのが、興行中止保険です。
厳しい現実:保険料は「高い」
この保険は、他の保険とは桁が違います。 保険料率は、イベントの性質や時期(台風リスク)によって保険会社が個別に算出します。
北九州(屋外)5月の相場感
- 保険料率の目安:補償額の 3% 〜 10%
- 例:もし中止時の損失「300万円」をカバーしたいなら、
- 保険料は 9万円 〜 30万円 程度かかります。
Good News: 開催が 5月5日 なので、7月〜9月の台風シーズンよりは安く見積もられる可能性があります(数%台の可能性あり)。 Bad News: それでも、今回の保険予算「10万円」では、この保険だけで予算が尽きます。第1章の賠償責任保険(必須)に入れなくなります。
戦略的決断:何を捨てるか
予算10万円の中で「全て」を守ることは不可能です。
- 賠償責任保険(第1章): 【必須】 絶対に入る(約7万円)。
- スタッフ保険(第2章): 【必須】 絶対に入る(約3.5万円)。
- --> ここで既に予算10.5万円です。
- 興行中止保険(第4章): 【断念】
- 今回は諦めるしかありません。
代替案:リスク許容
「もし中止になったら、300万円の赤字が出る」というリスクを、主催団体として許容できるか?
- Yes(内部留保がある):保険に入らず、自己資金で耐える。
- No(破産する):スポンサーに追加協賛をお願いするか、何かを削って保険料を捻出する。
加入する場合の注意点
もし予算が増えて加入できる場合でも、以下の点に注意してください。
- 締切が早い:開催の 14日前 までには契約完了が必要です。審査に時間がかかるので、1ヶ月前には相談しないと間に合いません。
- 「小雨決行」の定義:どの程度の雨/風なら中止にするのか、客観的な基準(警報発令など)を事前に決めておく必要があります。
アクション
- とりあえず見積もりだけ取る(無料)。
- 代理店に「5月5日、北九州、屋外、中止損害300万円」で概算を聞く。
- 金額を見て、理事が集まって会議で決断する。
- 「30万円払って安心を買うか、リスクを取るか」。
賢いかけ方
「全額」ではなく「どうしても払えないと困る額」だけかける方法があります。 例えば、「設営費だけは絶対払わないといけないから、100万円分だけかける」などです。 これなら保険料を抑えられるかもしれません。
アクション
イベント賠償保険の相談をする時に、ついでに聞いてください。
「予算は少ないんですが、台風で中止になった時の保険(興行中止保険)もいくらくらいか知りたいです。100万円だけかけられますか?」
参考文献 (References)
- イベント保険パンフレット (興行中止含む一般的な案内): 東京海上日動 (デジタルカタログ)